はたらく図鑑
答えのない教育で見つける、本当の自分


「はたらく」にフューチャーしたオウンドメディア
Vol.5の今回は兵庫県にある私立の通信学校青楓館学院を設立された岡内さん。
サラリーマン時代に社会で活躍する人材と学校教育で育つ人材の乖離に違和感を感じた岡内さん。
”個性教育”に特化した教育の必要性を感じ、AO専門塾で勤務したのち青楓館高等学院を設立。
岡内さんが考える “個性教育”とは?
その在り方に迫っていきます!
<話し手>
–岡内 大晟青楓館高等学院 代表
「生徒の個性を認め、可能性を育む」を掲げ、生徒1人ひとりの個性を活かした教育環境の確立に取り組む。
青楓館創設に至るまで
–岡内さんがサラリーマン時代に感じた、”学校教育で育つ人材”と” 社会で活躍する人材”の特徴の「違い」とは?
そうですね。まず学校教育で育つ人材に多い特徴は「情報処理能力が高い」人が多いです。例えば、1+1=2みたいな。学校ではそれが早ければ早いほど優秀っていう評価をされると思うんですよ。でも、社会では「コミュニケーション能力や主体性」のある人が軒並み活躍できるようになっていて。僕の場合は社長営業を通じてそのギャップを実感しました。
–「そのあとAO専門塾で勤務されていますが、青楓館を設立するに至ったのはどうしてでしょうか?」
生徒に寄り添う教育をより重点的に取り組むことができると考えたからです。塾の時は週2~3時間ほどしか子供達と話せなくて、結局のところゴールは子どもたちの個性を引き出すことではなく「合格させる」になってしまっていたんです。この状態では生徒から出てくるいろんな葛藤や悩みの感情を無視して教えないといけない。でも学校ならより長い時間を生徒と過ごすことができて、そういった気持ちにも徹底して寄り添うことができると思い青楓館を設立しました。
塾講師の時も青楓館を創設してからも「個人に寄り添う」教育スタイルは変えていませんが、後者の方が合格後の生徒の進路にも寄り添うことができていると感じています。
目標に向き合うのではなく“その子”に向き合う
–青楓館を卒業した生徒はどのような進路に進むケースが多いのでしょうか?
いろんな進路を選択する生徒がいます。中には不登校だった生徒もいたんですけど、青楓館での学びを経て、MAKERS UNIVERSITY(起業家を目指す学生が集まる私塾)に合格する生徒、起業家になる生徒、プロのミュージシャンになる生徒もいます。もちろん、国公立大学など大学進学を選択する生徒もいます。
–どうして生徒の進路がそんなに幅広いのですか?
青楓館ではあえて目標を掲げない教育に取り組んでいるからです。「3年間でここまでもってこよう」みたいに全体の目標を掲げてしまうと、その目標に向き合うことになってしまって生徒の思い自体を見失ってしまうんですよ。だからこそ、青楓館では「個性教育」を大切にしています。
–「個性教育」を大切にされているとのことですが、具体的にどのようなことを大切にされているのでしょうか?
私たちが取り組む個性教育では子供達のことを「承認」し続けることを大切にしています。今の学校教育は、主に勉強と部活動、この2つの評価軸に基づいて評価されることがほとんどだと感じていて。でもそれだとそれ以外の能力を持った生徒は評価されないんですよ。
青楓館では勉強と部活に限らず、全ての子供達の得意なことを受け入れられる環境づくりに取り組んでいます。例えば、PBL(課題解決型プロジェクト)に積極的に取り組むようにしています。その中で、議事録をまとめるのが得意な子が出てきたり、ファシリテーションが上手な子が出てきたりなど、子供たちが秘めている力を引き出すことにも力を入れています。
今まで勉強と部活の2つの評価軸でしか評価されず、自信を失くしてしまっている生徒も青楓館にはたくさんいます。というかほとんどの生徒がそういった自信がない状態から青楓館での学びをスタートします。けれど、そういった子たちには“伸びしろ”しかないんです。もちろん時間はかかりますが、承認を続けていく中で自分の個性や特技に気づいた時の成長速度は目を見張るものです。
例えば、周りから「カメラマンで生計なんて建てられない」と言われて自信を無くしていた子が、承認を続けていくうちにカメラマンのインターン枠を勝ち取ったりしていて、そういった瞬間を目の当たりにすると僕自身も一番ワクワクします。
見えている学力にこだわらない。まず承認。
–ご自身の経験を踏まえて、改めて個性教育で大切なことは?
「承認」することと「学び続けられる頭」を身につけさせることだと思います。高校入学時からやりたいことや自分の強みに本当の意味で気がつける子よりも、卒業が近づいてから気がつく子の方が多いし、むしろそういったことに気がつけない子どもたちの方が多いと思います。
僕自身学校を設立して今のような形で教育に携わることができると思っていなかったし、高校のときに考えていた自分の強みと今の強みも全く違うんですよ。むしろやりたいことや強みは経験を重ねるごとに変わっていくものだと思うんです。
だからこそ、教育を行う立場である私たちに必要なのは常に子どもたちの興味・関心、特技を受け入れ続けること(=承認する)。そういったものに子どもたちが出会ったときに学び続けられるよう、コミュニケーション力や人から愛される力、そして学ぶ機会を得る力を身につけさせてあげることなのではないかと思います。
あとがき
教育にゴールはあるのでしょうか?
「〇〇大学(高校)に合格すること」
こういうゴールは従来の学校や塾教育で多くの先生、ないしは親が掲げているケースが多いと感じます。
しかし、そればかりを気にしてしまうと子どもたちが本当に学びたいこと、やりたいことに向き合うことを忘れてしまうのではないでしょうか。
本当に正しい教育のゴールは何なのか、その答えは生徒一人ひとりに寄り添った結果、見えてくるものなのかもしれません。

- 会社名青楓館高等学院
- 事業内容高等学校運営
- 役職代表
- 名前岡内大晟